︎調湿建材使用時の注意点
・構造やその他の建材も合わせて考える!
前記でも説明していますが、下地材や断熱材を用いて調湿する場合には、壁や天井の構成を考える必要があります。
具体例を一つご紹介してみます。
一般的な壁紙として使用されているビニルクロスという建材があります。
汚れにくくお手入れしやすいことや、色や柄に様々なバリエーションがあること、
何より非常に安価であることから最も多く使用されている壁仕上げ材です。
ですが、このビニルクロスは通気性や透湿性、吸放湿性がほとんどありません。
ビニルクロス単体で吸放湿することはないだけでなく、
下地材や断熱材に調湿性がある建材を使用しても、ビニルクロスが阻害するため、室内への調湿性能を発揮しなくなります。
最近は、ビニルクロスでも調湿性能や透湿性能を付与した製品も出てきています。
製品をしっかりと選び、壁や天井の構造に合った建材を選択することが重要です。
・調湿機能には限界があることを認識する!
調湿建材も万能ではありません。
壁の一部だけを調質建材にしても、水分を吸放出できる量は限られます。
また、お部屋が大きくなると、お部屋全体を調湿するための能力もお部屋の大きさに応じて必要になります。
さらに、夏場は調湿力を超えた量の水分を吸収してしまうと、それ以上吸湿できなくなります。
逆に冬場は、屋外が乾燥していれば、調湿建材が持っている量以上の水分は放出出来ません。
調湿建材には限界があるのです。
︎まとめ
使いやすい間取りやお部屋の日当たり、高性能な設備やインテリアなどだけでなく、
住宅の調湿性能についても考えると、住宅がより居心地良くなるかもしれません。
新築やリフォームで調湿建材を取り入れたからといって、体感できるほどの効果が得られない場合もあります。
ですが、調湿を考えて作った家は、「風邪をひきにくくなった」や「結露しにくくなった」など、
気づきにくいけれど良い効果を実感するという話は伺います。
調湿建材だけに頼らず、加湿器やエアコンの除湿機能、植物などのインテリアも合わせて考え、
快適な湿度環境にする工夫をしてはいかがでしょうか。