親族を亡くしたあとに心配となるのが相続の問題です。
不動産が相続財産に含まれる場合、分け方や相続手続き、その後の活用方法などが問題になるケースが多くありますので、専門家に相談して適切な手続きを行っていくとスムーズです。
この記事は、相続手続きで相談できる専門家の選び方や不動産相続の相談窓口を探すときのポイントをご紹介します。
相続に関する相談はいつしたらいい?
大切な方を亡くし、精神的な喪失感や負担がある中でもやらなければならないのが相続に関する手続きです。
相続手続きには期限が定められており、期限内に手続きが完了していないとペナルティーが発生するものもあります。
・相続放棄、限定承認の手続き…3ヵ月
・準確定申告…4ヵ月
・相続税の申告・納付…10ヵ月
・遺留分侵害額請求…1年
遺言書の検認には1ヶ月程度かかりますし、相続税の申告・納付期限までは10ヵ月ありますが、「10ヵ月もあるから大丈夫」と思っているとあっという間に期限が迫ってしまいます。
特に期限が設けられていない手続きでもできるだけ早めに専門家に相談することが大切です。
相続のトラブルは弁護士に相談
相続でトラブルが起こっている、またはトラブルが起こりそうな場合は弁護士に相談します。
相続で揉めたり、相続手続きに関して協力してくれない相続人がいた場合などは、調停などで解決する必要があります。
相続人同士の衝突を避けるためにも弁護士を通して交渉を依頼するのは有効な方法です。
弁護士は法律トラブルを解決する専門家として法律相談や調停、裁判所へ提出する書類の作成を行っています。
相続では、遺言書の検認、遺産分割協議の代理人、相続人調査、相続財産調査などを相談できます。
不動産の名義変更は司法書士
司法書士は不動産登記や書類作成の専門家です。
不動産相続では不動産の相続登記や抵当権抹消登記など、不動産登記に関する業務を依頼できます。
相続登記の手続きはもちろん自分でもできますが、登記には多くの書類の準備など手続きが煩雑です。
司法書士は遺言書の検認、相続放棄、成年後見の手続きなども行うことができますので、相続財産に不動産が含まれる場合には司法書士に相談すると良いでしょう。
不動産の相続登記を自分でするなら行政書士
行政書士は相続財産の調査、相続人の調査、遺産分割協議書の作成などを依頼できます。
行政書士は不動産の相続登記はできませんが、費用が他の士業に比べて安いため、相続財産に不動産が含まれない場合や相続登記を自分で行う場合には行政書士に依頼すると良いでしょう。
相続税の申告が必要な場合は税理士へ
平成27年の相続税の改正により、相続税の基礎控除額の計算方法が変わったため、これまで納税対象外だった人まで取り込まれることになり、相続税は資産家だけの問題ではなくなりました。
基礎控除額の計算は以下の通りです。
「3,000万円+600万円×法定相続人の数」
相続税の申告が必要な場合には税理士に相談すると良いでしょう。
税理士には相続税の申告だけでなく、生前贈与の方法や相続財産の評価、相続税の更生請求などを相談できます。
不動産業者活用・不動産売却なら不動産業者
相続した不動産を活用したり売却したいと考えている場合は不動産業者に相談するのがおすすめです。
不動産業者のなかには税理士や司法書士、弁護士などの専門家と連携しており、相続から税金、不動産運用までワンストップで相談できる業者もあります。
相続財産の中に不動産が含まれている、不動産活用を考えている、という場合には不動産業者に相談するのがおすすめです。
相続の相談窓口となる不動産業者を選ぶポイント
相続した不動産の活用方法に関する相談は、不動産業者に相談するケースが多いです。
しかし、どこの不動産業者でも不動産相続に関する問題を解決できるわけではありません。
以下でご紹介するポイントを押さえて業者選びをすると失敗が少なくなります。
各専門家と提携している不動産業者
不動産業者は不動産の売買と賃貸経営などの活用方法の専門業者です。
相続は遺産分割や相続税、他の相続財産なども絡んでくるため、不動産業者だけではカバーできないこともあります。
そこで、相続に関する相談を不動産業者にしたい場合は、各専門家の士業と提携している業者を選ぶと安心です。
提携していない場合、自分で専門家を探して手続きを依頼しなければなりませんが、提携先のある不動産業者なら、業者が士業との橋渡し役となってくれます。
不動産相続の経験が豊富な業者
いくら専門家との提携があっても、不動産業者の知識が浅ければ相続に絡む複雑な問題に対応できない場合もあります。
不動産相続に関して経験がある業者であれば相続した不動産をトラブルなく分割したり、売却するためにサポートしてくれます。
不動産業者にも相続の知識は求められますので、事前にメールなどで相談内容に対応できるか質問してみたり、ホームページの実績などをチェックしておくと良いでしょう。
相続した物件が担当エリアの不動産業者
不動産相続の相談後には、実際に不動産の売却や活用をすることになりますので、その地域の不動産事情に詳しい地元の不動産業者に依頼した方が確実です。
例えば東京の不動産業者が神奈川県内の不動産の仲介をできない訳ではありませんが、神奈川県内で該当不動産の立地するエリアを中心に営業している不動産業者の方が、地域の需要や不動産の相場情報について最新の知識を持っている可能性が高いと言えます。
できるだけ相続した不動産が営業エリアとなっている業者から選ぶのがおすすめです。
不動産相続の相談窓口を有効活用しましょう
不動産の相続で分からないことや不安なことがある場合は不動産相続の相談窓口を積極的に活用しましょう。
士業の場合は相談のみであれば1時間5,000~10,000円程度で相談することができます。
そのほか、不動産相続を扱っている不動産業者に相談してみたり、自治体の無料相談を活用してみる方法もあります。
今後の不動産の活用方法などで相談がある場合には、まず不動産業者に相談をしてみると、専門家を紹介してもらったり、必要に応じてリフォームの相談も一括でできますので安心です。