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不動産が相続対策のメリットになる理由 不動産相続の注意点と対策

不動産は現金よりも相続税を計算する際の評価額が低くなるため、相続人の相続対策として有効です。

そこで、不動産相続のメリット・デメリット、不動産を活用した相続対策についてご紹介します。

 

不動産の相続対策のメリット

不動産相続は相続税を節税することができるというメリットがあります。

不動産は相続税を計算するときに基準とする相続税評価額が現金よりも2~3割低い額になるためです。

不動産の評価に土地の利用目的に応じて4種類の評価額があります。

1.実勢価格…不動産を売買する際に実際に取引が成立した価格

2.公示価格…価格の動向指標として国土交通省が毎年示す標準的な価格

3.相続税路線価…相続税の評価をする際に使用する価格で、公示価格の8割が目安です。

4.固定資産税評価額…固定資産税を決める際に使用する価格で、公示価格の7割が目安です。

相続税評価額が低くなれば、その分課税される相続税を少なくすることができます。

特に賃貸アパートなど第三者に貸している収益物件は相続税評価額が低くなり、さらに家賃収入を得ることができる点で大きな節税効果となります。

 

不動産相続のデメリット

不動産相続のデメリットは相続問題になりかねない点です。

不動産相続で起こり得る相続問題には
・分割しにくい
・納税しにくい
という点が挙げられます。

不動産は現金と違い1円単位で分けることができません。
そのため、遺産分割の際に争いの種になりやすく注意が必要です。

また、相続財産の割合に不動産が多い場合、相続税が納付しにくくなります。

相続税は原則として現金で一括納付ですので、相続財産に不動産しかない場合、相続人に納税の問題がのしかかります。

 

不動産を活用した3つの相続対策

賃貸すると相続税評価額が低くなる

不動産の相続税評価額は第三者に賃貸することでさらに低くすることができます。

賃貸分権の土地は貸家建付地となり、借主の権利を保護する考え方から貸主の土地利用の権利には一定の制限があります。

相続の評価をする際には地域ごとに定められた借地権割合、全国一律30%と定められた借家権割合、空き家を加味する賃貸割合を用いて評価額を減額することができます。

不動産の相続評価額は時価よりも低くなるうえ、賃貸をすることでその評価額をさらに下げることができます。

 

小規模宅地等の特例を適用する

小規模宅地等の特例とは一定の条件を満たせば建物の財産は変わらないのに相続税を考えるときのみ
財産価値を8割減額して考える制度です。

小規模宅地等の特例の対象となる宅地には自宅を始めとして4種類ありますが、更地には適用されませんので注意が必要です。

【「小規模宅地等の特例」の対象となる宅地】

被相続人の所有する土地:自宅
土地の種類:特定居住用宅地
適用面積:~330㎡
評価減:80%

被相続人の所有する土地:事業を行っていた土地
土地の種類:特定居住用宅地
適用面積:~400㎡
評価減:80%

被相続人の所有する土地:貸付事業を行っていた土地
土地の種類:貸付事業用宅地
適用面積:~200㎡
評価減:50%

被相続人の所有する土地:被相続人やその他の親族が一定の割合の株を持つ会社が事業を行っていた土地
土地の種類:特定同族会社事業用宅地
適用面積:~400㎡
評価減:80%

 

相続時精算課税制度を活用して贈与税を非課税にする

「相続時精算課税制度」とは2,500万円までの財産に対して贈与税が非課税となり
2,500万円を超える分については一律20%の贈与税がかかるというものです。

60歳以上の両親または祖父母から20歳以上の子どもや孫に対する贈与で利用できます。

注意点は相続の際に相続時精算課税制度を使って贈与した財産は相続財産に加算する必要がある点です。

贈与の時点で贈与税がかからなくても、相続時に他の財産と加算して相続税が課税されることがあります。

相続時精算課税制度を利用して加算する価格は贈与時の時価となりますので
不動産価格が上昇傾向の場合は贈与は大きな節税効果が見込まれます。

 

不動産相続の流れ

相続にはさまざまな手続きが発生します。
相続は多くの方が初めて行いますので、手続きの多さに戸惑う方も多いでしょう。
そこで、不動産手続きの簡単な流れをご紹介します。

 

遺言書を確認する

相続が始まったらまずすることは遺言書の存在を確認することです。
遺産分割協議が終わった後に遺言が見つかると遺言書の内容が優先されます。
このようなトラブルがないためにも被相続人は事前に遺言書の保管場所を相続人に伝えておくようにしましょう。

 

相続人を確定させる

相続人を確定させるために被相続人の生まれてから死亡するまでの一連の戸籍謄本を取り寄せます。
後になって新たな相続人が発覚すると遺産分割協議のやり直しとなりますので、しっかりと調べましょう。

 

相続財産確定・財産目録の作成

被相続人の財産を確定して財産目録を作成します。
相続財産には現金や不動産などプラスの財産とローンなどのマイナスの財産があります。

家族の知らない通帳がある場合もありますので
財産目録は被相続人が遺言書作成と同時に作って添付しておくとスムーズです。

 

遺産分割協議

遺言書がない場合には遺産分割協議を行い、遺産分割を行います。
遺産分割協議で合意が得られたら相続人全員が署名・捺印を行います。

 

不動産の相続登記(名義変更)

不動産を相続する相続人は不動産の相続登記を行うことで不動産の名義が変更されます。
不動産登記には登記事項証明書などいくつかの処理が必要となりますので
なるべく早い段階で準備しておきましょう。

 

相続税の申告・納付

相続財産が決まったら相続税の申告と納付を行います。
相続税の納付は原則として現金での納付となります。

また、相続税の申告・納付期限は相続開始を知った日の翌日から10カ月以内です。
期日を過ぎると相続税に関する特例が適用されなかったり
延滞税がかかることもありますのでなるべく早めに手続きを始めることが大切です。

 

分割方法や納税の準備をして不動産を相続対策に活用しましょう

不動産の相続対策のメリットとデメリット、不動産を活用した相続対策の方法をご紹介しました。

不動産は相続税を節税する効果がありますが、分割や相続税の納付が難しいことがあります。

遺産分割についてはあらかじめ被相続人が遺言に残して分割しやすい状態にしておいたり
相続税の納付のための準備をしておくことも大切です。

対策を行いながら不動産を活用して相続税対策をしましょう。