サイトアイコン 有限会社谷垣工務店

‐不動産相続しても固定資産税が払えない!?滞納したときの対処法‐

将来、不動産相続を予定している方のなかには「固定資産税が支払えないとどのようになるのか」といった不安を感じている方もいらっしゃるでしょう。

今回は、固定資産税が支払えないとどうなるのか、支払えないときの対応方法をご紹介します。

不動産相続後に固定資産税が支払えないケース

不動産相続後に手元の現金が不足すると固定資産税が払えない状況になるケースがあります。

被相続人が残した相続財産・負債は、相続放棄する場合を除いて、すべて引き継いだ相続人に相続されます。
つまり、不動産相続により不動産を取得した人が、固定資産税を支払わなければなりません。

不動産相続で取得した土地や建物の固定資産税の納付方法は、原則として現金納付のみです。
そのため、次のような場合は固定資産税を支払えない場合があります。

1.相続により取得した財産が不動産のみで、手元の現金が少ない場合
2.遺産分割協議が固定資産税の納付期限までまとまらず、被相続人の現金預金が凍結されたままの場合

相続財産の大部分を不動産が占める場合、固定資産税の負担も大きくなります。
また、相続財産のうち現金預金に占める割合が少ない場合や、相続人に十分な預金がない場合は、現金を納付期限までに準備できず、固定資産税が支払えない可能性があります。

一般的に、遺産分割協議が終わる前に固定資産税の納付期限が来てしまう場合は、相続人の代表者が立て替えをし、その代表者が相続財産から立替分を精算するか、不動産相続を予定している相続人が固定資産税を負担します。

固定資産税が支払えないとどのようなるか

固定資産税が支払えない場合、次のような流れで支払いの催促がされます。

①督促状が届く
②延滞金が発生する
③給与や預金が差し押さえられる
④土地や建物が差し押さえられる
⑤公売にかけられる

固定資産税の支払いが遅れると延滞金が発生します。
支払い期限の翌日から1カ月を過ぎるまでは税額の2.4%、1カ月を経過した日以降は税額8.7%が延滞金としてかかります。

また、督促状が発行された日から10日以内に完納しなければ、給与や預金が差し押さえられます。
給与や預金を差し押さえても支払いきれなかった場合は土地や建物などの財産を差し押さえられる可能性があります。

固定資産税が支払えないときの対応方法

固定資産税が支払えないときは、次の方法で対処します。

自治体の窓口に相談する

固定資産税の支払いが難しいと考えたら、まずは自治体の窓口に相談します。
窓口の連絡先は固定資産税の納付書に記載されています。

固定資産税を通常通りに支払う能力がないと判断されると、以下の4つの措置を受けられる可能性があります。

・分納

固定資産税は原則として一括払いか4回払いですが、分納が認められると支払いを各月(年12回)に変更できます。

ただし、分納を認められたあとに滞納してしまうと財産差し押さえの対象になる可能性がありますので注意が必要です。

・徴収猶予

病気や事業の休廃業、災害などにより、固定資産税を一時的に支払えないと認められた場合や、税額が本来の納付期限よりも1年以上あとに確定し、一時的に納付できない理由があると認められた場合は、「徴収猶予」を受けられます。

徴収猶予を受けている期間中は延納金が発生したり、財産が差し押さえられることもないため、生活を立て直すことを優先できます。

・減免

「減免」は災害などで収入が一定額以上減少している場合、固定資産税を2割~全額まで免除される制度です。

減免を受けられるのは、家屋が倒壊して復旧困難、天候不順で作物の収穫量が減った場合などです。
家屋が被害を受けた場合は、家屋の価格に対して何割程度被害を受けたか調査したうえで減免割合を算出します。

申請期限は、納付期限か災害発生から2カ月経過した日のいずれか遅い日です。
そのため、災害などが起こって少し落ち着いてきたら早めに自治体に申請することをおすすめします。

・換価の猶予

不動産がすでに差し押さえられている場合は換価の猶予を受けられるか相談してみることをおすすめします。

「換価の猶予」とは、すでに差し押さえられている、あるいは差し押さえの対象になっている財産の差し押さえを一定期間猶予してもらえるという措置です。
猶予期間は1年間以内と決められており、その間は分納という形で納税することになります。

換価の猶予の申請期限は納税期限から3カ月以内なので、自治体が定める基準に該当する場合は早めに相談するようにしましょう。

任意売却を検討する

分納や一定期間の納税猶予を利用しても納税が難しい場合、物件を競売にかけられてしまう前に、任意売却を検討しましょう。
任意売却は競売とは異なり、自分の意思で売却活動を進められるため、スケジュールを自分で管理でき、物件を相場通りの価格で売却できます。

不動産の共有はできるだけ避ける

不動産相続で、不動産を兄弟などで「共有」した場合、固定資産税は共有者全員に納付義務があります。

共有不動産では、固定資産税の納付通知書が代表者1人に送付されます。
ほかの共有者は代表者に持分割合に応じて固定資産税を支払い、代表者がまとめて納付します。

しかし、ここで問題になるのは、共有者が負担分を支払ってくれない、というケースの発生です。

共有者の固定資産税を1人の相続人が建て替えている場合、「求償権」を行使して共有者の負担分を支払ってもらうことが可能です。
音信不通の場合は、「不在者財産管理人」を選任して滞納分を回収することもできます。

いずれにせよ、共有では固定資産税を支払ってもらえない可能性がある、というリスクがあります。
それだけでなく共有の場合は勝手に売却できないなど、さまざまな制約が付きまとうため、あまりおすすめできません。

不動産相続では、できるだけ共有はさけ、それぞれの財産に対して引き継ぐ人を明確に決めることでトラブルを避けられます。

不動産相続では固定資産税の支払いも考慮しておく

固定資産税が支払えないとどうなるか、支払えない場合の対応方法について解説しました。

不動産相続をすると、毎年固定資産税を支払うことになります。
相続財産に不動産がある場合は、固定資産税の支払いも考慮して、支払い計画を立てておくことが大切です。