相続をしたらどれくらいの税金がかかるのだろう?と、不安に思われている方も少なくないのではないでしょうか。
相続が発生すると財産の評価額が一定以上の場合は相続税が発生します。
さらに不動産相続の場合、相続登記の際に登録免許税も発生するため、あらかじめ把握しておき準備する必要があります。
この記事では、不動産相続で発生する税金について解説します。
不動産相続で発生する税金
土地や建物などの不動産を相続する場合、「相続税」と「登録免許税」の2つがかかります。
それぞれどのような税金なのか見ていきましょう。
相続税
相続税は被相続人の財産を相続することで生じる税金です。
不動産だけでなく、現金などの引き継いだ財産に対してかかります。
相続税には基礎控除額があり、相続税評価額の合計から基礎控除額を差し引き、プラスになった分に対して申告・納付の義務があります。
基礎控除額は
3,000万円+600万円×法定相続人の数
で求められます。
法定相続人の人数によって基礎控除額は変動しますので、以下の表を参考にしてください。
法定相続人 基礎控除額
1人 3,600万円
2人 4,200万円
3人 4,800万円
4人 5,400万円
5人 6,000万円
相続税は課税額に応じて税率と控除額が変わります。
相続税の総額を計算する際には国税庁の「相続税の早見表」を使って課税額に応じた税率や控除額を適用させます。
【相続税の早見表】
法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10% –
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円
※平成27年7月1日以降
登録免許税
相続による不動産の名義変更を「相続登記」といい、相続登記をした際には「登録免許税」を支払う必要があります。
登録免許税は以下の式で算出します。
不動産の固定資産税評価額×0.4%
固定資産税評価額は「固定資産税課税明細」に記載されており、1000円未満を切り捨てた額で計算します。
固定資産税課税明細は毎年送付されるものですので、評価額が分からない場合は郵便物が届いていないか探してみましょう。
相続税の納付方法
相続税の納付方法は一般的には金融機関で手続きしますが、その他にも納付方法がありますので納付しやすい方法で手続きすると良いでしょう。
金融機関の窓口
最も一般的な方法は銀行をはじめとした金融機関の窓口で納付手続きをする方法です。
相続税は高額なことが多く高額な現金を持ち歩いて税務署まで出向くのは現実的ではありません。
そこで、銀行の預金から出金して銀行で納付します。
金融機関での納付は手数料は不要、領収証書も発行されます。
クレジットカード
2017年1月からはクレジットカードでの納付も可能となりました。
一度の納付金額が1,000万円未満で利用するクレジットカードの限度額以内であれば納付が可能です。
相続税納付額が少額で、平日に金融機関に出向けない方には便利な方法です。
納付方法は国税庁の公式サイトまたはe-Taxから「国税クレジットカードお支払いサイト」にアクセスして行います。
注意点は
・一度の納付金額は1,000万円未満
・利用するクレジットカードの限度額の範囲内
・領収証書は発行されない
・決済手数料がかかる
という点です。
クレジットカード納付の決済手数料は以下の通りです。
納付税額 決済手数料(税抜)
1~10,000円 76円
10,001~20,000円 152円
20,001~30,000円 228円
30,001~40,000円 304円
40,001~50,000円 380円
50万円 3,800円
100万円 7,600円
300万円 22,800円
※1万円ごとに決済手数料76円(税抜)が加算
コンビニエンスストア
納付金額が30万円以下の場合、コンビニエンスストアで納付手続きをすることができます。
ただし、コンビニ納付のためには事前に納付書を税務署に持参し、バーコード付き納付書を発行してもらう必要があります。
税務署の窓口
相続税は税務署の窓口でも納付することができます。
ただし、納付は申告書を提出した管轄の税務署でしか行うことができません。
また、現金を税務署に持参しなければならないため、高額の納付はあまり現実的とは言えないでしょう。
登録免許税の納付方法
現金納付
銀行などの金融機関で現金で納付します。
納付したら登記申請書に領収書を貼付し、法務局に申請します。
収入印紙
納付額が30,000円以下の場合、収入印紙でも納付することができます。
法務局や登記所、郵便局で収入印紙を購入し、登記申請書に貼付して提出します。
実務上、登録免許税30,000円を超えるケースでも収入印紙で納付すことが多くあります。
「小規模宅地の特例」で評価額を引き下げることができる
一定の要件を満たすと相続した土地の評価額を50%または80%下げることができます。
土地の評価額が下がれば相続税も下がるため大きな節税効果があります。
小規模宅地の特例を受けるための要件は以下となります。
・配偶者
配偶者は無条件で対象となります。
・同居していた親族
相続税の申告期限まで所有し続け、かつ住み続けていることが条件です。
・同居していない親族(家なき子特例)
賃貸住宅に住んでいる親族が相続した場合に対象となります。
相続人に持ち家がある場合には適用されません。
家なき子特例は以下の要件をすべて満たす必要があります。
①被相続人に配偶者・同居親族がいない
②過去3年以内に自分、自分の配偶者、3等身以内の親族等が所有する家に住んだことがない
③相続開始時に居住していた家を過去に所有していたことがない
④相続税の申告期限まで所有し続ける
不動産をそのまま所有するとかかる税金
不動産相続では、相続時の相続税と登録免許税以外に、その後の不動産の活用方法によりかかってくる税金があります。
不動産をそのまま所有する場合、「固定資産税」と「都市計画税」が発生します。
これらの税金は毎年発生します。
不動産を受け継いだ場合はこのような費用がかかり続けることは考慮しておく必要があります。
不動産を売却するとかかる税金
受け継いだ不動産を売却した場合、利益分が「譲渡所得」に該当し、「所得税」と「住民税」がかかります。
売却した不動産の保有期間が5年超の場合は所得税15%、住民税5%かかります。
不動産の保有期間が5年以下の場合は所得税30%、住民税9%となります。
不動産活用をする際にはこれらの税金がかかることは把握しておきましょう。
不動産相続はプロに相談すると安心
不動産相続にかかる税金について解説しました。
不動産相続にかかる税金は条件を満たせば節税することも可能です。
相続手続きが煩雑であるだけでなく、その後の不動産活用に関しても考えなければならないこともたくさんあります。
その場合、不動産相続のプロにアドバイザーになってもらうと安心して手続きを進めることができますので、不動産活用に詳しい不動産業者や士業などの専門家に相談しながら進めるとスムーズです。