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不動産相続のケース別の必要書類と登記申請書に記載する内容

 

不動産相続をした場合、名義変更のために法務局で相続登記の手続きが必要です。
相続登記の必要書類は遺産分割の方法により異なりますので、ケースに応じて書類を用意する必要があります。

 

このページでは、不動産相続の相続登記の必要書類について解説します。

 

ケース別不動産相続登記の必要書類

相続登記の必要書類は

・遺言書による相続
・遺産分割協議による相続
・法定相続分による相続

によって異なります。

 

遺言書による不動産相続の必要書類

・相続人全員の戸籍謄本
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
・被相続人の住民票の除票
・相続人の住民票
・相続する不動産の固定資産評価証明書
・遺言書

 

遺産分割協議による不動産相続の必要書類

・相続人全員の戸籍謄本
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
・被相続人の住民票の除票
・相続人の住民票
・相続する不動産の固定資産評価証明書
・遺産分割協議書
・相続人全員の印鑑証明書

 

法定相続分での不動産相続の必要書類

・相続人全員の戸籍謄本
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
・被相続人の住民票の除票
・相続人の住民票
・相続する不動産の固定資産評価証明書

 

自筆証書遺言書の場合は遺言書の検認が必要

遺言書が自筆証書遺言または秘密証書遺言で、法務省の自筆証書遺言保管制度を利用していない場合は、家庭裁判所で検認が必要です。

 

検認を行う理由

検認とは遺言書が自宅で発見されたとき、放っておくと発見者に破棄されたり内容を改ざんされたりするトラブルを防ぐため、家庭裁判所で内容を確認し、遺言書を改ざんや偽造されないように確認することです。

 

公正証書遺言は検認の必要はありません。

 

自宅で遺言書を見つけたら、開封せずに家庭裁判所に検認の申し立てをします。

 

申し立て手続きの必要書類

・検認申立書
・遺言書(自筆証書遺言、秘密証書遺言)
・遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本
・相続人全員の戸籍謄本
・収入印紙(800円分)
・連絡用の郵便切手(裁判所により異なる)

 

封筒に入った遺言書で封印されている場合は、検認までは開封してはいけません。
勝手に開封してしまった場合、5万円以下の過料が科される可能性があります。

 

なお、遺言書を開封してしまっても遺言書は無効にならず、開封してしまった人が相続人の権利を失うわけではありません。

 

しかし、開封したことにより遺言書の偽造や変造を疑われ、トラブルに発展する可能性もありますので、遺言書を発見したら開封せずすみやかに家庭裁判所に申し立てを行うことが大切です。

 

登記申請書を作成する

不動産相続の相続登記では登記申請書を作成し、上記の必要書類を添付して法務局に申請します。

 

登記申請書の入手方法

登記申請書には特に決まったフォーマットはありません。
したがって、必要事項を記載した書面であればどのようなものでも問題ありません。

 

しかし、ゼロから作成してくのは難しいかと思いますので、一般的には法務局の相続登記申請書のひな形を参考にして作成します。

 

申請書の要式

登記申請書にはA4の白色の用紙を使用します。

 

用紙は縦置きにし、横書きで記入します。
片面のみに使用し、表裏両面の使用はできません。

 

パソコン、ワープロでの作成またはインク、黒色のボールペンによる手書きで作成します。
鉛筆の使用はできません。

 

申請書が複数ページになる場合は登記権利者及び登記義務者が登記申請書に押印した印鑑と同じ印鑑で契印します。

 

登記申請書の内容

登記申請には以下の内容を記載します。
ここでは相続人が1人のみのケースをご紹介します。

 

・題名
「登記申請書」と記載します。

 

・登記の目的

相続登記の内容を記載します。
被相続人の不動産の所有状況により内容は変わります。

 

①所有権全部を持っていた場合
「所有権移転」と記載

 

②所有権の一部(共有持分)を持っていた場合
「(被相続人の氏名)持分全部移転」と記載

 

③複数の不動産の所有権全部と共有持分を持っていた場合
「所有権移転及び(被相続人の氏名)持分全部移転と記載

 

・原因と日付

被相続人の死亡日付と「相続」の文言を記載します。

 

・相続人と被相続人

被相続人の氏名と相続人の氏名・住所・電話番号、持分があればその旨を記載します。
被相続人の氏名は以下のようにカッコ書きで記載します。
(被相続人 〇〇〇〇)

 

・添付書類

添付書類の内容を記載します。

 

・返却書類の郵送希望に関して

相続登記が完了すると法務局から登記完了証、登記識別情報通知書が交付され、提出した書類の一部が返還されます。
原則として窓口で受け取りますが、郵送での交付を希望する場合はその旨を記載します。

 

申請年月日と管轄法務局

申請年月日は「令和〇年〇月〇日申請」と記載します。

管轄法務局は不動産の所在地を管轄する法務局です。

 

課税価格と登録免許税

課税価格には固定資産税評価額を記載します。

申請書には1,000円未満の端数は切り捨てて記載します。

 

登録免許税は以下の式で算出します。

登録免許税=課税価格×税率0.4%

 

計算で得られた額の100円未満の端数を切り捨てた額が登録免許税の額です。
計算により得られた額が1,000円未満の場合は登録免許税は1,000円となります。

 

不動産の表示

登記事項証明書に記載されている不動産の情報を記載します。

 

収入印紙

上で算出した登録免許税の額の収入印紙を貼付します。
登記申請書とは別のA4コピー用紙に「収入印紙添付台紙」と題名を記載し、収入印紙を貼ります。

 

2024年4月から相続登記が義務化に

現在相続登記は義務化されていませんが、民法と不動産登記法等が改正され、2024年4月1日から不動産の相続登記が義務化されます。

 

相続登記の期限は原則として3年以内となり、正当な理由なく相続登記を怠った場合は10万円以下の過料が科せられます。

 

これは過去の相続も対象となりますので、2024年3月以前に不動産相続をした土地や建物も2024年から3年以内に登記申請をする必要があります。

 

相続登記は専門家に任せた方が安心

不動産相続の相続登記の必要書類をご紹介しました。

 

相続登記はもちろん自分で行うこともできます。

 

しかし、必要書類が多く、登記申請書を一から作成しなければならない、登録免許税は自分で計算し納付しなければならないなど、申請にかなりの手間がかかります。

 

また、不動産相続の方法によって必要書類や申請書の書き方も変わりますので、相続登記は専門家に依頼した方が間違うリスクがなく、スムーズです。