相続トラブルを避けるための不動産相続の注意点をご紹介
2022.09.23
相続は人生で何度も行うことはありません。
多くの方が突然相続手続きをすることになり、手続きに大変な労力を要してしまいます。
特に相続財産に不動産が含まれる場合、相続人同士でトラブルが起こってしまう場合もあります。
この記事では不動産相続で特に気を付けておきたい注意点をご紹介します。
遺産の分割方法は相続人全員の同意が必要
相続財産に土地・建物などの不動産が含まれていた場合、遺言書がない場合は相続人全員で話し合って不動産を誰が相続するのかを決める必要があります。
相続人で遺産の分割方法を決めることを「遺産分割協議」と言います。
遺産分割協議で相続財産の分け方が決定したら「遺産分割協議書」を作成し、相続人全員が署名、実印の押印を行います。
遺産分割協議は必ずしも全員が同じ場所に集まって行う必要はなく、手紙やメールでもやり取りすることが可能です。
不動産の共有はなるべく避ける
不動産相続が完了するまでの間は不動産は相続人全員の共有財産となっています。
相続財産は共有のままにしておくこともできます。
しかし、共有の状態にしておくとさまざまなトラブルが起こる可能性があります。
まず、共有の状態では不動産を売却する際にも全員の同意が必要となります。
また、相続人の中に借金がある人がいる場合、不動産の相続持分を差し押さえられてしまう可能性があります。
不動産は遺産分割協議が終わるまで共同相続人が法定相続割合に応じて共有している状態です。
債権者は借金がある相続人の法定相続分を差し押さえることができます。
不動産相続で分割を行わずに共有名義にしている場合も注意が必要です。
不動産の共有持ち分も差押さえの対象となります。
さらに、共有者の誰かが亡くなった場合には再び相続が起こり、不動産に関わる人物がどんどん増えていくことになってしまいます。
このようなトラブルを防ぐ為にも不動産は相続する人を決めた方良いでしょう。
不動産はお金で分割することもできる
相続財産と呼べるものが自宅しかない、というケースはよくあります。
この場合、1人が不動産を相続すると他の人が何も相続できなくなってしまいます。
このようなケースでは不動産を相続した人が他の相続人に金銭を支払って精算をする「代償分割」という方法があります。
また、不動産を売却してその売却益を相続人同士で分割する「換価分割」という方法もあります。
相続税の申告は10ヶ月以内
相続税の申告期限は相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に行うと定められています。
10ヶ月というと時間がたっぷりあるように思えますが、実際にはあっという間に過ぎてしまいますので、遺産分割協議や申告書の作成をスムーズに行う必要があります。
相続税がかかるかどうかを確認する
相続税には「3000万円+600万円×法定相続人の数」という基礎控除額があります。
相続財産の合計額がこの範囲内であれば相続税はかかりません。
相続財産に不動産がある場合は高額な財産となりますので、相続税が発生するケースがありますので、まずは相続財産の額が基礎控除の範囲内かどうかを確認しましょう。
期限までに申告書を提出しないとペナルティが課される
相続税の申告書を申告期限までに正当な理由なく提出しなかった場合、無申告加算税が課されます。
無申告の場合、申告期限までに納税も終えていないことが多くあり、この場合は延滞税も併せて課されることとなり、高額なペナルティとなりますので注意が必要です。
遺産分割が決まらない場合は未分割で申告する
話し合いがまとまらず、申告期限までに遺産分割が決まらない場合は未分割のまま申告書を提出することができます。
この場合、一旦法定相続分で分割したことにして計算を行います。
相続登記を忘れずに行う
不動産を相続する人は相続登記を行います。
相続登記は2024年4月1日から義務化が開始され、「相続の開始および所有権を取得したと知った日から3年以内」に相続登記をしなければなりません。
義務化後、正当な理由なしに3年以内に登記しなかった場合、10万円以下の過料が課される可能性があります。
それだけでなく、登記をしないままでいるとさまざまなトラブルの原因となりますので、速やかに行うようにしましょう。
納税資金についても考えておく
相続財産と相続税ばかりに気を取られていると、納税資金が足りないことに後になって気づくこともあります。
納税のための現金が手元にない場合は、相続財産のうち、納税分の現金も相続するように協議をするようにしましょう。
各不動産の相続に関しての注意点
戸建て住宅を相続する際の注意点
相続人が別で家を所有している場合、相続した戸建てに居住予定がなければ空き家になる可能性があります。
空き家になった場合、特例空き家に指定される可能性があり、小規模住宅用地特例の対象外となり固定資産税が4倍程度高くなってしまいます。
固定資産税は毎年かかりますので、空き家所有は大きなコストがかかることになります。
固定資産税のコストが厳しい場合は売却も視野にいれると良いでしょう。
マンションを相続する際の注意点
マンションを相続した場合、多くの場合マンションを賃貸に出して不動産活用をします。
しかし、マンションの老朽化などにより、借り手が見つかりにくくなってしまう可能性があります。
この場合、リフォームするか、売却を検討する必要があります。
不動産会社と相談してマンションをどう活用していくのか検討しましょう。
土地を相続する際の注意点
土地を相続する場合は分割する際に注意が必要です。
土地の価格は変動するため、価格が値上がりしたり値下がりした場合に不満に感じる相続人が出てトラブルに発展する可能性があります。
トラブルを避けるためにも遺産分割協議の際には将来の価格変動も見据えて話し合う必要があります。
評価額が高い土地を相続した場合は相続税や固定資産税の負担額が増えることも念頭に置いておきましょう。
不動産相続は専門家に相談すると安心
不動産相続の注意点について解説しました。
不動産は1円単位で分割できない財産のため、相続トラブルに発展する可能性の高い財産です。
あらかじめ家族間で相談しておき、トラブルがない分割方法を決めておくことが大切です。
不動産の場合、誰も住まない家や誰も相続したくない土地なども相続トラブルの原因となります。
不動産業者など不動産のプロに相談して整理するなど、活用方法に関するアドバイスをもらっておくと安心です。
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