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不動産の生前贈与は不動産相続よりもメリットがある?効果・注意点

2023.02.24

 

生前贈与は相続対策をするうえで有効です。

 

生前贈与できる財産にはさまざまなものがありますが、特に自宅などを自分が元気なうちに特定の人に引き継がせたいという場合は不動産の生前贈与が有効です。

 

この記事では、不動産相続の生前贈与の効果や注意点、そのほかの生前贈与の活用方法をご紹介します。

 

不動産相続でかかる税金

不動産相続をすると「相続税」と「登録免許税」がかかります。

 

相続税

相続税は財産の相続税評価額の合計から基礎控除額を差し引いた額が、プラスになった場合に申告・納税の義務が生じます。

 

基礎控除額の計算式は以下となります。
基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

 

例えば相続人が配偶者と子ども3人の場合、

 

3,000万円+600万円×4人=5,400万円となり、相続財産の評価額合計が5,400万円よりも多い場合、相続税の申告と納付をする必要があります。

 

登録免許税

不動産相続では、その不動産の名義を変更する必要があり、これを相続登記と言います。
相続登記の際には登録免許税の支払いが必要です。

 

不動産相続の登録免許税の計算式は

登録免許税=不動産の固定資産税評価額×0.4%

となり、金融機関の窓口または印紙によって支払います。

 

不動産の生前贈与の効果

不動産を生前贈与すると一般的な不動産相続に比べて以下のような効果が期待できます。

 

相続税の節税効果

不動産の生前贈与をすることにより、相続税の節税効果を得られます。
相続税と贈与税は税率が異なり、条件によっては生前贈与により支払う税金を減らすことが可能です。

 

【相続税】
法定相続分    税率 控除額
1,000万円以下    10% –
3,000万円以下  15% 50万円
5,000万円以下  20% 200万円
1億円以下    30% 700万円
2億円以下    40% 1,700万円
3億円以下    45% 2,700万円
6億円以下    50% 4,200万円
6億円超      55% 7,200万円

 

【贈与税】
基礎控除後の課税価格  税率 控除額
200万円以下       10%  -
400万円以下       15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

 

どれくらい節税効果があるかは特例や控除などが関係します。
不動産の場合は評価額などにより違いも出てきますので、専門家に相談することをおすすめします。

 

不動産を引き継ぐ人を選ぶことができる

遺言書がない場合、不動産は遺産分割協議により法定相続人で分割することになります。
不動産相続の難しさは不動産が1円単位で分けることができない資産という点です。

 

不動産を誰が引き継ぐかで揉めごとが起こるケースが多くあります。
遺産分割協議は相続人全員が合意しなければなりませんので、誰か1人でも合意しない人がいると相続手続きが終わりません。

 

不動産を引き継ぐ人を指定したい場合、遺言書を作成する方法もありますが、生前贈与も有効です。
生前贈与により、自分が生きている間に引き継がせたい人に渡すことで、ある程度不動産相続発生後のトラブルを防ぐことができます。

 

不動産の生前贈与の注意点

不動産の生前贈与を検討している場合は、かかる税金のシミュレーションなど、不動産相続と生前贈与どちらがお得かをよく検討してから決める必要があります。

 

不動産の生前贈与では、贈与税のほかに不動産取得税がかかります。

 

それに加えて名義変更の際に登録免許税もかかりますので、トータルで計算すると、不動産相続の方が税金が安くなる、というケースもあります。

 

不動産相続の方が生前贈与よりも税負担が少ない場合は、遺言書により不動産を引き継ぐ人を指定すれば良いので、メリットとデメリットをよく考えて決めると失敗が少なくなります。

 

不動産の生前贈与の流れ

不動産の生前贈与の流れは以下となります。
不動産相続とは流れが異なりますので生前贈与を考えている場合は流れを把握しておくと良いでしょう。

 

①贈与契約書の作成

贈与契約は口頭でも成立しますが、登記の際に登記原因証明情報として不動産贈与契約書が必要になります。

 

②登記申請

法務局で登記申請を行い、名義変更手続きをします。
登記手続きは不動産の土地を管轄する法務局で行います。

 

③贈与税の申告と納付

不動産相続の場合は相続税ですが、生前贈与の場合は贈与税を申告し、納めます。

納付書での納付は金融機関または税務署で行います。

 

生前贈与をうまく活用する方法

生前贈与は不動産だけではありません。
うまく使うことで相続税の課税対象となる財産を減らすことができます。

 

ここでは生前贈与をうまく活用する方法をご紹介します。

 

暦年贈与を活用する

非課税で贈与できる財産は、1年間で基礎控除の110万円までです。

 

つまり、一度に多額の贈与をするのではなく、毎年110万円の範囲内で分割して贈与をすると税負担を軽減することができます。
これを暦年贈与と言います。

 

ただし、定額贈与とみなされてしまうと贈与税が課税される場合があります。
これを防ぐために、贈与のたびに贈与契約書を作成する、毎年同じ額を贈与しない、などの対策が必要です。

 

将来値上がりしそうな財産から贈与する

将来値上がりしそうな財産は、自分が死後の相続の時点で評価額が上がっている場合はその分相続税が高くなる可能性があります。
また、贈与してから3年以内に贈与した人の相続が発生した場合、贈与時の評価額で相続財産として加算されます。

 

そのため、将来値上がりしそうな財産から優先的に贈与することで相続税の節税効果が高まります。

 

多くの人に贈与する

上でもご紹介した通り、贈与税の基礎控除は1人年間110万円です。
贈与税の基礎控除は受贈者それぞれに適用されるため、基礎控除110万円×受贈者の人数の財産を非課税で贈与することが可能となります。

 

つまり、暦年贈与する人が増えればその分相続財産を減らすことができ、受け取る側にも税負担が軽減され、相続税の節税になります。

 

不動産の生前贈与は専門家に相談する

不動産は生前贈与が良いか、遺言書を作成して相続が良いかは、その不動産の評価額や相続税の控除額など、条件によって異なります。

そのため、節税のために不動産の生前贈与を考えている場合はシミュレーションをしっかりと行い、決めることが大切です。

 

また、不動産相続の専門家に相談してシミュレーションすると失敗を防ぐことができるでしょう。
生前贈与だけでなく、不動産相続についてお悩みの場合は一度専門家に相談しておくと安心です。

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