ー遺言書による不動産相続の登記手続きとは?必要書類や注意点も解説ー不動産コラム一覧

ー遺言書による不動産相続の登記手続きとは?必要書類や注意点も解説ー

2024.05.17

人の死は誰にも予測できず、突然訪れるものです。

 

「遺言書で不動産相続したけど、どうすればいい?」
「遺言書による不動産相続の手続きが知りたい」

 

このように亡くなった人の遺言書によって不動産相続をした場合、不明点が多く困ることがあります。

 

【遺言書による不動産相続の登記手続き】
・法定相続人の場合
相続分の指定や遺産分割方法→「相続登記」(単独申請)

・相続人以外の場合
遺贈→「遺贈登記」(共同申請)※受贈者と相続人全員の申請

 

この記事では、遺言書による不動産相続の登記手続きや必要書類について解説します。
最後まで読むと、遺言書による不動産相続での注意点、遺言書がなかった場合などもわかります。

 

お困りの方は、参考にしてみてください。

 

不動産相続での遺言書3形式

不動産相続で遺言書の有無は重要になります。

 

遺言書の効力は大きく、主に遺産争いやトラブルを避けるために用意されるケースが多いです。
遺言書の形式は、以下の3つです。

 

①自筆証書遺言
②公正証書遺言
③秘密証書遺

 

それぞれにルールが異なります。

 

①自筆証書遺言

自筆証書遺言は、亡くなった人(被相続人)が自筆で作成します。

 

誰でも作成できて、作成時に証人の立会いも不要です。
ただし、自筆証書遺言があることや保管場所を誰も知らない場合、見つけてもらえないデメリットがあります。

 

相続人が被相続人が亡くなったあとに、自筆証書遺言が見つかった場合は、家庭裁判所で検認手続きを取らねければなりません。

※検認:遺言書がルールに則って作成されているかを確認すること

 

②公正証書遺言

公正証書遺言は、法律専門家である公証人が被相続人から遺言の内容を聞いて作成されます。

 

身体的に不自由であり、自ら遺言書が作成できない人でも作成できるメリットがあります。

公正証書遺言を作成した後は、公証役場に保管されるため、紛失や偽造の心配がありません。

 

③秘密証書遺言

秘密証書遺言は、公証人に遺言内容を秘密にした状態で、公証人に遺言書の存在だけを証明してもらう遺言書です。

 

秘密証書遺言を作成したら、公証人2人と公証役場へ行って提出します。

被相続人が亡くなり相続が発生した時点で、家庭裁判所の検認手続きが必要になります。

 

遺言書による不動産相続の登記手続き

遺言書による不動産相続の登記手続きは、遺言内容が法定相続人に対してか、遺贈(相続人以外に譲る)なのかによって変わります。

 

・法定相続人の場合
相続分の指定や遺産分割方法→「相続登記」(単独申請)

・相続人以外の場合
遺贈→「遺贈登記」(共同申請)※受贈者と相続人全員の申請

 

 

遺言執行者が選任されている場合は、相続登記に遺言執行者は関与しません。
ただし、遺贈登記の場合は受贈者と登記申請をします。

 

共同申請は、単独申請より手続きが複雑になり、必要書類も増えます。

 

遺言書で不動産相続したときの必要書類

遺言書で不動産相続したときの基本的な必要書類は、以下のとおりになります。

 

【遺言書で不動産相続したときの必要書類】
・遺言書(公正証書遺言以外は検認済であること)
・登記申請書
・被相続人の戸籍謄本および除籍謄本
・被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
・不動産相続を受ける相続人の戸籍謄本
・不動産相続を受ける相続人全員の住民票の写し
・相続する不動産の固定資産評価証明書
・相続関係説明図

 

遺贈の場合には、以下の書類も必要です。

 

・相続する不動産の権利証または登記識別情報
・相続人全員の印鑑証明書

 

遺言書で不動産相続したときの必要書類は、相続状況に応じて変わるため、確認と注意が必要です。

 

遺言書による不動産相続での注意点2つ

遺言書による不動産相続で注意すべき点は、以下の2つです。

 

・不動産相続したときの相続登記の義務化
・遺言書の無断開封と破棄

 

正しく手続きを行うためにも、読んでおいてください。

 

不動産相続したときの相続登記の義務化

令和6年4月1日より、不動産相続したときの相続登記の義務化がされました。不動産相続したときに登記変更されないケースが多いためです。

 

相続登記が義務化したあと、相続人は3年以内に相続登記申請をしなければなりません。
正当な理由なく相続登記をしなかった場合は、最大10万以下の過料が科されます。

 

令和6年4月1日以前に相続した不動産も対象になります。

 

遺言書の無断開封と破棄

遺言書は、法律上検認が義務付けられています。
もし、検認前に遺言書を開封してしまったら5万以下の過料が科されることも。

 

また、遺言書の破棄も法律上禁止されています。
意図的に破棄をした場合は、相続人の資格を失う可能性があります。

 

もし誤って遺言書を開封してしまったときは、家庭裁判所へ相談してください。

 

不動産相続で遺言書がない場合はどうなる?

不動産相続で遺言書がある場合は、遺言内容に則って手続きを行えば良いですが、ない場合は次のようになります。

 

・法定相続人で分ける→法律で決められた割合でそれぞれに分けられる
・遺産分割協議をする→法定相続分に異議が出た際に協議に相続人が参加して同意する

 

遺言書がない場合は、相続人の中で従わない人がいると最終的に家庭裁判所で調停を申し立てて解決をします。

遺言書の作成は、不動産をはじめ相続においてトラブルを起こさないためにも重要です。

 

遺言書のよる不動産相続の手続きは専門家へ依頼しよう

遺言書による不動産相続の手続きは、複雑で法律上の知識が必要です。

 

相続登記手続きを相談できる専門家としては、「弁護士」「司法書士」「行政書士」がいます。

それぞれの専門家には以下のような役割があるため、相続内容に応じて相談してみてください。

 

・弁護士:争いやトラブルがあるとき
・司法書士:遺産の中に不動産が含まれないとき
・行政書士:争いやトラブルがなく、遺産に不動産が含まれるとき

 

 

まとめ

この記事では、遺言書による不動産相続の登記手続きや必要書類について解説しました。

 

【遺言書による不動産相続の登記手続き】
・法定相続人の場合
相続分の指定や遺産分割方法→「相続登記」(単独申請)

・相続人以外の場合
遺贈→「遺贈登記」(共同申請)※受贈者と相続人全員の申請

 

【遺言書で不動産相続したときの必要書類】
・遺言書(公正証書遺言以外は検認済であること)
・登記申請書
・被相続人の戸籍謄本および除籍謄本
・被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
・不動産相続を受ける相続人の戸籍謄本
・不動産相続を受ける相続人全員の住民票の写し
・相続する不動産の固定資産評価証明書
・相続関係説明図

 

【遺言書による不動産相続での注意点】
・不動産相続したときの相続登記の義務化→相続人は3年以内に相続登記申請
・遺言書の無断開封と破棄→5万以下の過料と相続人の資格を失う可能性

 

不動産相続するときに遺言書の有無で大きく手続きや状況が変わります。

また、令和6年4月1日より相続登記の義務化がされたため、相続手続きを忘れないように注意をしてください。

 

個人で遺言書による不動産相続の手続きをするのは困難なため、「弁護士」「司法書士」「行政書士」といった専門家に相談してサポートしてもらいましょう。

 

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