不動産相続の登記手続きの流れと相続登記の義務化について解説
2022.09.16
不動産相続の登記手続きは多くの方が初めて行う手続きであり、用意する書類も多いため、戸惑う方が多くいらっしゃいます。
そこで、相続登記手続きの流れと2024年4月から始まる相続登記の義務化について解説します。
STEP1 必要書類を用意する
不動産の地番と家屋番号を調べる
不動産には土地や建物を識別するために土地には地番、建物には家屋番号が付けられています。
地番と家屋番号は以下の書類に記載されていますので、まずは書類を探してみましょう。
・固定資産納税通知書
・登記済権利証または登記識別情報通知書
固定資産納税通知書は市町村から毎年届きますので、郵便物を確認してみてください。
登記簿謄本を取得する
地番、家屋番号が分かったら法務局で登記簿謄本(登記事項証明書)を取得します。
登記簿謄本の請求方法は窓口または郵送の2種類があります。
登記簿謄本を取得する手続きと同時に他の必要書類も集めます。
相続の方法別必要書類は以下となります。
遺産分割協議による相続登記
・遺産分割協議書
・相続人の印鑑証明書
・相続人全員の戸籍謄本
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
・被相続人の住民票の除票
・不動産取得者の住民票
・相続する不動産の固定資産評価証明書
・収入印紙
・登記申請書
遺言による相続登記
・遺言書
・相続人全員の戸籍謄本
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
・被相続人の住民票の除票
・不動産取得者の住民票
・相続する不動産の固定資産評価証明書
・収入印紙
・登記申請書
法定相続分による相続登記
・相続人全員の戸籍謄本
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
・被相続人の住民票の除票
・不動産取得者の住民票
・相続する不動産の固定資産評価証明書
・収入印紙
・登記申請書
STEP2 登録免許税の計算
不動産の名義変更を行う際には登録免許税がかかります。
登録免許税の計算方法は以下となります。
①固定資産税評価額を確認する
固定資産税評価額は納税通知書に添付される課税資産明細の欄に記載されています。
②評価額の1000円未満の端数を切り捨てる
③②の数字に税率0.4%を掛ける
④計算で出た金額の100円未満の金額を切り捨てる
STEP3 登記申請書の作成
登記申請書には法律で定められている様式や書き方はありません。
指定の用紙が用意されている訳ではなく、自分で作る必要があります。
相続登記申請書は
・破れにくい白色のA4用紙
・黒のボールペンによる手書きまたはパソコンで作成したものをプリントアウトしたもの
で作成する必要があります。
鉛筆や摩擦で消えてしまうようなペンの使用は認められていません。
相続登記申請書の記載事項
申請書の記載事項は大きく次の9つの項目となります。
①登記の目的
②登記の原因
③被相続人の名前
④相続人の名前・住所・電話番号
⑤添付書類
⑥登記識別情報の通知希望
⑦申請日と管轄法務局
⑧課税価格と登録免許税
⑨不動産の表示
⑩収入印紙(用紙に貼付する)
STEP4 法務局へ登記申請する
申請書を作成し、書類を用意したら綴じて提出します。
書類は登記申請書を一番上にして以下の順番で並べます。
①登記申請書
②収入印紙貼付用紙
③相関関係説明図
④原本の返却を受ける書類のコピー
⑤原本の返却を受ける書類の原本
まず、①と②をホチキス留めし、書類の見開き部分に契印をします。
収入印紙には消印は不要です。
その下に③を重ねます。
④のコピーをホチキス留めし、一番上のページに「この写しは、原本と相違ありません」と記載し、それぞれのページに契印をします。
最後に①~④までの書類をホチキス留めします。
⑤はクリアファイルなどに入れて提出します。
書類を綴じたら法務局に提出して登記申請をします。
登記申請の方法には
・窓口
・郵送
・オンライン
の3種類があります。
郵送申請の場合、完了書類を郵送で受け取るためには申請書に郵送で受け取りたい旨を記載します。
その他の事項
送付の方法により登記識別情報通知書及び登記完了証の交付、原本還付書類の返還を希望します。
送付先 申請人の住所
と記載し、返信用の封筒を同封します。
レターパックプラス(赤色)を同封する方が多いので活用すると良いでしょう。
STEP5 登記内容を確認する
登記完了予定日は登記申請から1週間から10日ほどです。
登記が完了したら登記完了証と登記識別情報通知書を受け取ります。
2024年4月1日から相続登記が義務化
2021年4月に民法と不動産登記法が改正され、相続登記の義務化が公布されました。
義務化のスタートは2024年4月1日からとされています。
相続登記が義務化された背景
相続登記が義務化された背景には「所有者不明土地」が増えたことが理由です。
所有者不明土地とは、不動産登記簿等の所有者台帳により、所有者が直ちに判明しないまたは判明しても所有者に連絡が付かない土地のことを指します。
現在、日本国内の所有者不明土地は九州の面積を超える広さにまで及んでいるとされています。
所有者不明土地が発生する原因は相続時の未登記が全体の約67%を占めています。
所有者不明土地は公共事業や災害対策の障害となり、実際に東日本大震災の復興整備事業でも、所有者不明土地が事業推進の妨げとなりました。
このように、所有者不明土地は公共事業や不動産取引等を妨げる要因となるため、不動産登記の義務化が求められていました。
相続登記の義務化
不動産の所有者について相続があったときには、相続により不動産の所有権を取得した者は相続の開始及び所有権を取得したことを知った日から3年以内に不動産の名義変更登記をしなければなりません。
正当な理由がないのに登記申請をしないままでいると10万円以下の過料の対象となります。
相続登記義務化は法改正後に発生した相続だけでなく、法改正以前から相続登記をしていない不動産も対象となります。
法改正前から相続登記をしていない不動産については原則として法改正の施行日から3年以内です。
不動産相続は専門家に依頼するとスムーズ
相続登記の手続きの流れや相続登記の義務化について解説しました。
相続登記は用意する書類が多い上、手続きが煩雑なため、司法書士に任せると安心です。
また、不動産相続を始めとした相続手続きは相続に詳しい専門家に依頼すると不備が発生する心配もなく手続きがスムーズです。
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