-不動産を売却した翌年の住民税は?徴収方法・納付の時期-お知らせ一覧

-不動産を売却した翌年の住民税は?徴収方法・納付の時期-

2023.11.24

不動産売却の際には「いくらで売却できるか?」ということに目が向きがちですが、忘れてはならないのが住民税です。

 

不動産を売却すると翌年の所得税と住民税が増えます。

そのため、税金の支払いの準備をしておく必要があります。

 

今回は、不動産売却の翌年の住民税について解説します。

 

 

不動産売却の所得の区分

 

不動産売却の所得は「譲渡所得」

 

不動産売却で得た所得は「譲渡所得」に属します。

 

間違いやすいものに「不動産所得」がありますが、不動産所得は不動産を賃貸することで得られる所得を指します。

 

譲渡所得は申告分離課税のため、毎年2月16日~3月15日までに確定申告を行う必要があります。

 

 

長期譲渡所得と短期譲渡所得

 

譲渡所得は、所得期間に応じて「長期譲渡所得」と「短期譲渡所得」の2種類があり、税率が異なります

 

不動産を売却した年の1月1日の時点でそれまでに不動産を所有していた期間が5年を超えている場合は長期譲渡所得、5年以下の場合は短期譲渡所得となります。

 

・短期譲渡所得

所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%=税率39.64%

 

・長期譲渡所得

所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%=20.315%

 

 

注意点は譲渡所得を区分する際の不動産の所有期間は譲渡した年の1月1日の時点でその不動産を何年所有していたかで決まります。

譲渡したのが1月であっても12月であってもその年の1月1日までの経過年数が所有期間です。

 

 

不動産売却の住民税の支払い時期

 

不動産売却の住民税は、売却した翌年の2月16日~3月15日までに確定申告で税額が決定したあと、翌年の6月以降に支払います。

 

 

住民税の支払い方法

 

住民税の支払い方法は、普通徴収で自分で納付するか、特別徴収で毎月の給与から天引きで納めます。

 

 

普通徴収

 

普通徴収を選択して自分で支払う場合、市区町村から納付書が送られてきますので、金融機関やコンビニなどで納付できます。

 

住民税は6月に一括で支払うか、6月、8月10月、翌年1月の4回に分けて納付します。

 

 

特別徴収

 

特別徴収を選んだ場合、給与所得の住民税と同じように給与から天引きされて納めます。

 

特別徴収の場合、自分で期日までに支払うなどの特別な手続きが不要で、毎月の給与から天引きされますので、1回あたりの支払額も安く済みます。

 

しかし、所得があったことを会社に知られたくない場合は、普通徴収を選ぶようにしましょう。

 

 

譲渡所得の計算方法

 

不動産の売却額はそのまま譲渡所得になるわけではありません。

譲渡所得は次のように求められます。

 

 

譲渡所得の計算式

 

譲渡所得の金額は次の計算式で求められます。

 

譲渡所得=譲渡価格(売却価格)-取得費-譲渡費用

 

取得費は、土地の場合は購入価格、建物の場合は購入価格から減価償却費を控除した額です。

譲渡費用とは、仲介手数料など、不動産売却のためにかかった費用です。

 

 

譲渡所得がマイナスになった場合

 

不動産の取得価格が売却価格よりも高かった場合、譲渡所得がマイナスになります。

その場合は、譲渡所得はゼロとなり、所得税や住民税はかかりません。

 

 

土地や建物などの譲渡所得の特別控除

 

不動産売却をした場合、譲渡所得から特別控除を利用できるケースがあります。

 

特例は次の6種類です。

 

①公共事業のために売却した際の特別控除:5,000万円

②マイホームを売却した際の特別控除:3,000万円

③特別土地区画整理事業などのために売却した際の特別控除:2,000万円

④特定住宅地造成事業などのために売却した際の特別控除1,500万円

⑤平成21~22年に取得した国内の土地を譲渡した際の特別控除:1,000万円

⑥農地の保有化などのために売却した際の特別控除:800万円

 

特別控除はその年の譲渡益の全体を通じて5,000万円が限度となります。

 

 

自分が住んでいた家屋や敷地を売却するときの特別控除

 

自分が以前住んでいて、現在空き家になっている家屋や敷地を売却するときには3,000万円の特別控除が適用されます。

 

この場合、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却することが条件となります。

 

 

現在住んでいる自宅を売却するときの特別控除

 

現在住んでいる家を売却した場合は、所有期間に関係なく3,000万円の特別控除が受けられます。

また、所有期間が10年以上の場合、税率軽減の特例との併用も可能です。

 

ただし、自宅の建て替えの際の仮住まいとしての居住や別荘などは特別控除の適用外となります。

 

 

相続した実家を売却するときの特別控除

 

被相続人が1人で住んでいた建物と土地を相続により取得し、その空き家を売却した場合、一定の要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を控除できます。

 

控除を受けるには、次の要件をすべて満たす必要があります。

 

①売主が売却する物件の前所有者の相続人または包括受遺者である

②売主が被相続人が住んでいた建物と敷地の両方を相続または遺贈により取得したこと

③売主が過去にこの制度を利用していないこと

④建物が昭和56年(1981年)5月31日以前に建築されたものであること

⑤その建物がマンション等の区分所有建物でないこと

⑥被相続人が相続開始の直前にその建物に1人で住んでいたこと

⑦買主が売主の親族等でない第三者であること

⑧家屋・敷地の売却時期が、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までであり、かつ、制度の適用期間内であること

⑨売却代金が1億円以下であること

⑩相続開始時から売却時まで、事業、貸付、居住の用に使用されていないこと

⑪建物が売却時に耐震基準に適合していること

 

 

特別控除を受けるための必要書類

 

3,000万円の特別控除を受けるためには以下の必要書類を揃えて確定申告する必要があります。

 

・確定申告書・譲渡所得の内訳書(税務署ホームページでダウンロードまたはe-・Taxで本人が作成)

・戸籍の附票(市区町村の窓口)

・譲渡した土地・建物の全部事項証明書(法務局)

・売却時の書類の写し(本人所有)

・取得時の書類の写し(本人所有)

・住民票の写しまたはマイナンバー(住民票は市区町村の窓口)

 

必要書類はそれぞれ受け取る場所が異なりますので、早めに準備しておきましょう

 

 

不動産売却では住民税も考慮しておく

 

不動産売却では、住民税の支払いも考慮しておくこと、確定申告について事前に準備しておくことが大切です。

 

また、特別控除を利用できればかなりの節税になりますので、適用条件を満たしているかも事前に確認し、できるだけ活用しましょう。

 

分からないことがあれば、不動産売却や不動産相続の専門家に相談してみると良いでしょう。

 

 

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