不動産相続登記の流れと必要書類・登記をしないと起こるリスクお知らせ一覧

不動産相続登記の流れと必要書類・登記をしないと起こるリスク

2023.05.19

 

相続で土地や建物などの不動産を引き継いだ場合、名義変更手続きをする必要があります。
これを相続登記といいますが、実際にどのような流れで相続登記を行えば良いのか分からないという方もいらっしゃるでしょう。

 

そこで、不動産相続登記の流れや必要書類、不動産相続登記を行わないことで起こるリスクなどについてご紹介します。

 

相続登記とは

相続登記とは簡単に言えば相続による不動産の名義変更のことです。

不動産の所有者が亡くなり不動産相続したときに登記名義を被相続人から相続人の名義へ変更することを指します。

 

つまり、被相続人から相続人へ登記申請することによって所有者が変わるということです。

相続登記の手続きは法務局で行います。

 

相続登記の流れ

相続登記は不動産の所在地を管轄する法務局で行います。
大まかな流れは以下となります。

 

1.相続財産の特定

相続財産に不動産がある場合は、不動産の状態や権利関係などを確認します。

 

不動産の情報については登記事項証明書(登記簿謄本)があれば確認できますが、見つからない場合は管轄の法務局で調べることも可能です。

 

2.不動産を相続する人を決める

遺言書がある場合は遺言書に従って遺産相続手続きを行いますが、遺言書がない場合は遺産分割協議で遺産の分割方法と不動産を引き継ぐ人を決めます。

 

取り決めた内容に合意したら遺産分割協議書を作成し、相続人全員の署名・捺印をします。

 

以後、不動産に関する手続きは不動産相続することになった人が行います。

 

3.登記に必要な書類の収集・作成

相続登記に必要な書類を収集、登記申請書などを作成します。

 

4.法務局での申請手続

登記申請書と必要書類を、不動産の住所地を管轄する法務局の窓口に登録免許税の収入印紙と共に提出します。

 

相続登記の必要書類

相続登記の必要書類は相続の方法によって変わります。
ここでは必要書類を、遺言書がある場合、遺産分割協議による相続登記の場合、法定相続分による相続登記の場合に分けてご紹介します。

 

遺言書による不動産相続の場合

遺言書による不動産相続の場合、登記手続きにかかる必要書類はほかの方法に比べて少なくなります。

 

・遺言書
自筆証書遺言の場合は家庭裁判所で検認が必要です。

 

・戸籍謄本(除籍謄本)
被相続人の戸籍謄本(除籍謄本)は、被相続人の死亡の記載があるものが必要です。
相続人の戸籍謄本は被相続人の死亡日以降に発行されたものとなります。

 

・住民票
住民票も被相続人、相続人両者の分が必要です。
被相続人の住民票は死亡により除かれた住民票(除票)となります。

 

・固定資産評価証明書
登記申請時の年度の固定資産評価証明書を用意します。

 

・登記申請書
登記申請する人が作成します。
法務局のホームページからひな形をダウンロードできます。

 

遺産分割協議による不動産相続の場合

・遺産分割協議書
相続人全員の記名と実印による押印が必要です。

 

・印鑑証明書
相続人全員の印鑑証明書を用意します。

 

・相続関係申請図
被相続人との関係が分かる家系図のようなもので、登記の申請人が作成します。

 

・戸籍謄本(除籍謄本)
被相続人の戸籍謄本(除籍謄本)は、出生から死亡まですべてが必要です。
また、相続人全員の戸籍謄本が必要で、被相続人の死亡日以降に発行されたものを用意します。

 

・住民票
住民票は被相続人、不動産相続する人の分が必要です。
被相続人の住民票は死亡により除かれた住民票(除票)となります。

 

・固定資産評価証明書
登記申請時の年度の固定資産評価証明書を用意します。

 

・登記申請書
登記申請する人が作成します。

 

法定相続分による不動産相続の場合

遺言書がなく、遺産分割協議ではまとまらなかった場合もしくは協議そのものをしなかった場合はそれぞれの法定相続分で相続登記の申請が可能です。

 

・相続関係申請図
相続登記の申請人が作成します。

 

・戸籍謄本(除籍謄本)
被相続人の戸籍謄本(除籍謄本)は、出生から死亡まですべてが必要です。
相続人全員の戸籍謄本が必要で、被相続人の死亡日以降に発行されたものとなります。

 

・住民票
住民票は被相続人、相続人全員の住民用または戸籍の附票が必要です。
被相続人の住民票は死亡により除かれた住民票(除票)となります。

 

・固定資産評価証明書
登記申請時の年度の固定資産評価証明書を用意します。

 

・登記申請書
登記申請する人が作成します。

 

相続登記をしないリスク

相続登記をせずに放置しているとトラブルに巻き込まれるなどさまざまなリスクがあります。
よくあるリスクは以下のようなものです。

 

売却がスムーズにできない可能性

相続登記をしないと不動産の名義は被相続人のままです。
もし、土地を売ったり担保として設定したりした場合でも他人名義の不動産となり、できません。

 

「今は売る気がないから」とそのままにしておこうと考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、売却する段階になって権利関係が複雑になっていたり、必要書類が集められなくなってしまったりなど、手続きが煩雑化します。

 

自分は売却する気がなくても、子どもや孫の代になってどうなるかは分かりません。
不動産相続をしたら早めに登記手続きをするようにしましょう。

 

権利関係が複雑になる

相続登記をしていない不動産は、名義が被相続人のままだと相続人全員の「共有」という状態になります。

相続登記をしないまま相続人の1人が亡くなると相続人が新たに発生します。

 

登記上は相続人全員の共有状態になっているため、相続人が増えることで権利関係が複雑化してしまいます。

意見がまとまらずにトラブルに発展することもありますし、連絡がとれない事態が起こる可能性もあります。

 

認知症などで分割が困難になる可能性

相続登記しないまま放置していると相続人が高齢化し、認知症を発症する可能性があります。

 

相続人に判断能力がなくなった場合、遺産分割協議に参加するためには成年後見人を付ける必要があります。
成年後見人を立てるのにも一定の時間がかかりますので、不動産の売却を急いでいるときなどは困ってしまいます。

 

相続登記は相続人に判断能力があるうちにやっておくことが大切です。

 

相続人の債権者による差し押さえリスク

相続登記をせず共有の状態になっている場合、相続人のなかに負債を抱えている人がいる場合は注意が必要です。

返済が滞ると債権者は代位登記といって相続人の代わりに登記をし、不動産を差し押さえることができます。

 

共有の状態になっていると知らないうちに不動産を差し押さえられていた、ということも起こりますので相続が起こったら不動産相続をする人を決め相続登記をした方がトラブルに巻き込まれずに済みます。

 

登記に必要な書類が入手困難になる

相続登記では住民票や戸籍謄本などの書類が必要です。
役所では死亡した人の書類の保存期間が決まっており、住民票は5年、戸籍は150年です。

 

保存期間が過ぎてしまい書類が処分されてしまうと入手できなくなり、手続きが複雑になります。

必要以上の手間をかけないためにも早めに登記手続きをした方が良いでしょう。

 

不動産相続は早めの準備が大切

相続登記の必要書類と相続登記を放置した場合のリスクについて解説しました。

 

不動産相続は財産の性質上トラブルが起こりやすいため、生前から不動産相続について家族間で話し合いをしておく、遺言書を作成するなどの対策が有効です。

 

また、不動産の引き継ぎ方でお悩みがある場合は不動産相続の専門家に相談しておくと安心です。

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