親名義の不動産 相続税はいくらかかる?不動産相続の節税対策は!?
2023.05.26
親が亡くなったときには相続が発生します。
亡くなった人(被相続人)が遺した財産が一定金額以上の場合、相続税の申告・納付義務が発生します。
相続財産のなかでも特に相続税が高くなりがちなのが不動産です。
不動産相続をしたらどれくらいの相続税がかかるのか気になっている方も少なくないでしょう。
このページでは相続税の計算方法、不動産相続で相続税を節税する方法について解説します。
不動産相続時に発生する税金
不動産相続の際にかかる税金は相続税と登録免許税です。
相続税
相続税は被相続人の財産を引き継ぐことで発生する税金です。
相続税は財産の相続税評価額の合計から基礎控除を差し引いた額がプラスになった場合、相続税の申告・納付の義務が発生します。
基礎控除額の計算式は以下となります。
基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
例えば相続人が妻と子ども3人の計4名の場合、
3,000万円+600万円×4=5,400万円
となります。
この場合、相続財産の評価額が5,400万円を超えた場合、相続税を申告・納付する必要があります。
登録免許税
不動産相続では不動産の名義を相続した人に名義変更する必要があります。
これを相続登記と言いますが、相続登記の際には「登録免許税」がかかります。
登録免許税の計算式は
登録免許税=不動産の固定資産税評価額×0.4%となります。
相続税の計算の流れ
①相続税を計算するにはまず、相続財産の課税価格を算出します。
計算式は次のようになります。
相続財産-非課税財産=遺産総額
遺産総額-(債務+葬式費用)+生前贈与加算=課税価格
②相続税の総額を計算し、各人の相続税額を算出する
課税価格から基礎控除額を差し引き、課税遺産総額を算出します。
さらに、民法が定める法定相続分に従って、各法定相続人が取得したものとして各法定相続人の取得金額を計算し、各人の相続税額を算出します。
課税価格-基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)=課税遺産総額
法定相続人の法定相続分×税率=各人の相続税額(A)
③相続税の総額を、各人が取得した課税価格に応じて按分し、財産を取得した人ごとの税額を計算します。
各人の取得財産に応じた相続税額=相続税の総額(A)×各人の課税価格/課税価格の合計額
ここで計算した税額から各種税額控除額を差し引いた残りが各人の相続税納付税額となります。
不動産の評価額の算出方法
不動産相続の場合、不動産の評価額を算出する必要があります。
土地と建物の評価額の算出方法は以下となります。
土地の評価方法
土地の評価方法には路線価方式と倍率方式があります。
・路線価方式
路線価で評価するのは路線価が設定されている土地でかつ道路に面している土地です。
市街地のなかにある土地のほとんどは路線価評価の対象となります。
路線価方式による土地の評価額の計算式は以下となります。
相続税評価額=路線価×各種補正率×土地面積
各種補正率には奥行価格補正率や奥行長大補正率などがあります。
・倍率方式
路線価は市街地に定められるため、郊外などの農村集落地域では路線価を付けません。
路線価のない土地では倍率方式で評価します。
倍率方式による土地の評価額の計算式は以下となります。
相続税評価額=固定資産税評価額×倍率
建物の評価方法
建物(家屋)の相続税評価額は「固定資産税課税明細」に記載されている額が評価額となります。
不動産相続した建物が戸建てでもマンションでも同様です。
固定資産税課税明細は毎年送付されますので、被相続人の郵便物をチェックしましょう。
不動産相続で相続税を節税する方法
相続税の節税対策とは相続税の課税対象となる財産を減らしたり、さまざまな特例を利用することで相続税の金額を抑えたりすることです。
相続のなかでも特に不動産相続は相続税が高額になる傾向にありますので、上手に活用して節税効果を高めましょう。
ここでは相続税の節税対策の代表的なものをご紹介します。
生前贈与で相続財産を減らす
生前贈与は生存している個人が別の個人に財産を無償で渡すことです。
存命のうちに生前贈与を行うことで、相続税の課税対象となる財産を減らせます。
ただし、生前贈与には贈与税が課税されますますので、相続税と贈与税の額を照らし合わせて検討することが大切です。
また、生前贈与が税務署に否認され、相続とみなされる場合もありますので注意が必要です。
生命保険の非課税枠を利用する
生命保険金には相続税の非課税枠があります。
生命保険の金額から500万円×法定相続人の数を差し引いて相続税を計算できます。
加入している生命保険の保険金が非課税枠の金額以下の場合、生命保険に加入することで相続税の節税が可能です。
小規模宅地等の特例を利用する
一定要件を満たせば土地の相続税評価額を最大80%減額できる「小規模宅地等の特例」を利用できます。
小規模宅地等の特例の対象となる土地は「非特定居住用宅地」の場合、
1.被相続人が住んでいた自宅の土地
2.被相続人と生計を一にする親族が住んでいた宅地
が「特定居住用宅地」となり、
特定居住用宅地が適用される要件は
・配偶者が取得した場合、無条件で適用される
・被相続人と同居していた親族が取得した場合、申告期限まで居住し、且つ対象の宅地を所有していること
・配偶者も同居親族もいない場合で持ち家のない親族(家なき子)が宅地を取得したときは、相続開始前3年以内に自分や配偶者名義などの家に住んだことがなく、申告期限までにその宅地を所有すること
となります。
土地活用をする
不動産相続した土地が更地の場合、賃貸アパートを建築して相続税を下げる方法があります。
賃貸アパートの建物の評価は固定資産評価額となり、取得金額の60%となりますので、賃貸アパートの建築費のおよそ4割を節税できます。
さらに、賃貸アパートが建っている土地は小規模宅地等の特例の対象となりますので、特例を適用できる可能性があります。
アパートの賃貸収入を得られることもメリットですが、空室リスクも伴うことは理解しておきましょう。
相続税対策は早めに始める
相続税の節税対策は相続が始まってからではなく、被相続人が生前のうちから行うことが大切です。
早いうちから対策しておけば、高い節税効果を得られる可能性があります。
不動産相続は相続税が高額になりやすく、相続手続きも複雑です。
相続財産に不動産が含まれる場合は早めに専門家に相談しておくと安心です。
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