ー不動産相続でトラブルを引き起こす事例7選!解説方法と事前回避対策ー
2024.04.26
「不動産を相続するときに起こるトラブルって?」
「不動産相続のトラブルを解決するにはどうしたらいいの?」
遺産の中に不動産が含まれている場合に、このような悩みを抱える方は多いでしょう。
不動産相続でトラブルを引き起こす事例は、主に以下の7つです。
①特定の相続人が不動産を独占しようとする
②不動産を相続する人が代償金を払えない
③不動産の評価方法の意見が合わない
④不動産の名義変更がされていない
⑤不動産の相続税を相続人が払えない
⑥不動産の売却で意見が合わない
⑦相続する不動産が空き家のままである
この記事では、不動産相続でトラブルを引き起こす7つの事例と解決方法について紹介します。
最後まで読むと、不動産相続のトラブルを事前に回避するための対策や平等に分ける方法もわかります。
ぜひ参考にしてください。
不動産相続のトラブルが多い理由とは?
相続する財産に不動産が含まれていると、相続人で揉める原因となるケースがあります。
不動産は現金や預貯金と違い、物理的に分けることが不可能です。
そのため、相続人の間で不公平が生じ、争いへ発展しやすい傾向にあります。
争いが長期化すると精神的な負担が大きくなるため、深刻化しないよう相続人同士が納得のいく相続手続きを取ることが大切です。
不動産相続でトラブルを引き起こす事例7選と解決方法
不動産相続でトラブルを引き起こす事例は、主に以下のとおりです。
①特定の相続人が不動産を独占しようとする
②不動産を相続する人が代償金を払えない
③不動産の評価方法の意見が合わない
④不動産の名義変更がされていない
⑤不動産の相続税を相続人が払えない
⑥不動産の売却で意見が合わない
⑦相続する不動産が空き家のままである
上記の7つの事例について詳しく解説します。
①特定の相続人が不動産を独占しようとする
相続人の中の一人が不動産を、以下のように主張するケースがあります。
相続人には平等に相続する権利があるため、他の相続人が納得する解決策を取らなければなりません。
【事例】
・長男が相続したいと主張する
・被相続人の配偶者の介護のために相続したい
・不動産を相続したい人が他にもいる
【解決方法】
・遺産分割協議で話し合う
・不動産の代わりに預貯金などで他の相続人に分割する
・遺産分割調停の申し立て、裁判官に分割方法を決めてもらう
②不動産を相続する人が代償金を払えない
相続人の一人が不動産を引き継ぐことに問題がなくても、平等に遺産分割をするために法定相続分相当の代償金の支払いを求められる場合があります。
【事例】
・親と住んでいた相続人が継続して住みたい
・事業を引き継いだ相続人がそのまま相続したい
【解決方法】
・代償金を分割払いにする
・相続人同士の話し合いに応じた代償金で解決する
・相続した不動産を売却して金銭で分割する
・遺産分割調停を申し立て分割方法を確定する
③不動産の評価方法の意見が合わない
不動産を相続した際には、遺産分割や相続税を算出するために評価額を決定する必要があります。
不動産の評価は難しく、明確な価額がないため、相続人同士で評価方法についてトラブルになるケースが多いです。
【事例】
・不動産評価額を相続人は低く、他の相続人は高くしたい
【解決方法】
・相続人同士で納得する評価額を話し合う
・不動産鑑定士に公平な評価をしてもらう
・遺産分割調停で適正価格を算定してもらう
④不動産の名義変更がされていない
不動産を相続したら名義変更(相続登記)をしなければなりません。
名義変更しないままでいると、所有者が不明な状態になり、後でトラブルになる可能性があります。
【事例】
・相続人が不動産の名義変更しないまま亡くなった
【解決方法】
・名義変更していない不動産の相続人が決まったら名義変更を早急に済ます
・遺言書を使って登記する
・遺産分割調停で解決した場合は遺産分割協議書で登記申請する
令和6年4月1日より相続登記の義務化が開始され、不動産相続決定日から、正当な理由もなく3年以内に手続きを行わないと10万円以下の過料対象となるため要注意です。
※令和6年4月1日以前の不動産相続も義務の対象になります。
⑤不動産の相続税を払えない
不動産を相続した際には、相続人は相続税を現金で支払う必要があります。
遺産の現金や預貯金から払えない場合は、相続人が現金で払わなければなりません。
【事例】
・土地と家と合わせたら基礎控除を大きく上回った
・相続した預貯金より上回る相続税になった
【解決方法】
・引き継いだ不動産を売却した利益から相続税を支払う
・被相続人の生命保険の受取人が相続人の場合は生命保険から支払う
⑥不動産の売却で意見が合わない
相続人の中には、相続した不動産の売却で揉めるケースが少なくありません。
不動産の場合は、残すか売るかのどちらかを決めます。
【事例】
・実家を残したい相続人がいる
・不動産を相続して新たに活用したい
・一部の相続人が売却に反対している
【解決方法】
・相続人同士で話し合う
・遺産分割調停で分割方法を決める
⑦相続する不動産が空き家のままである
両親が亡くなって相続した不動産が、誰も住まずに空き家になる場合もあります。
空き家の放置は、劣化による倒壊や近隣住民に迷惑をかけてしまうなどのリスクが発生しやすく、行政指導が入る可能性も高くなります。
固定資産税や管理費も発生し続けることになるので、相続人の話し合いが必要です。
【事例】
・相続人の事情で住むことができない
・田舎で買い手が見つからない
・実家を処分するのにためらいがある
【解決方法】
・家を解体し更地にする
・相続した不動産を売却する
・誰かが相続して住む
・賃貸物件として貸し出す
不動産相続のトラブルを事前回避するための3つの対策
不動産相続でトラブルにならないように事前にできる対策として、以下の3つがあります。
①生前に良く話し合う
②遺言書を作成する
③生前贈与をしておく
順番に説明していきます。
①生前に良く話し合う
普段から家族で、もしものことがあった場合を想定した話し合いをしておきましょう。
現金や預貯金のように簡単に分けれない不動産は、特に被相続人が亡くなる前に決めておくことが大切です。
相続する不動産が複数ある場合は、どの相続人がどの不動産を相続するのか決めておくとトラブルを防げます。
②遺言書を作成する
不動産を誰に相続するかを遺言書に残しておくことも可能です。
遺言書は、自筆だと日付がなかったりパソコンで作成すると無効になってしまうケースがあるため、「公正証書」がおすすめです。
遺言公正証書の作成には、遺言者と公証人以外に証人を2人以上用意する必要があります。
遺言公正証書は、必要書類の交付手数料や専門家への報酬などの費用が発生しますが、原本が公証役場で保管されるため、無効や紛失・偽造のおそれの可能性が低いのがメリットです。
③生前贈与をしておく
不動産を相続させたい人を決めている場合は、生前贈与をしておきましょう。
生前贈与は、贈与者と受贈者の合意があれば成立します。
相続人が複数いるときには、後にトラブルにならないように相続人全員へ贈与する意図を伝えておくことが大切です。
相続する不動産をトラブルなく平等に分ける方法
相続人全員が平等に相続する不動産を分割する主な方法は、以下の3つです。
・換価分割
・代償分割
・共有分割
詳しく説明していきましょう。
換価分割
換価分割とは、不動産や有価証券などの相続した財産の一部もしくは全てを売却し、現金化して相続人へ分割する方法です。
換価分割する際には、亡くなった被相続人からの財産の名義変更を行わないと売却ができません。
売却後に得た利益分を、法定相続分に応じて分割します。
代償分割
代償分割は、不動産などの現物財産の一部もしくは全てを一人の相続人が相続をして、代償金を他の相続人へ支払う分割方法です。
被相続人から財産である家を引き継いだ相続人以外が現金化を望んでいる場合は、代償金を支払って遺産分割を行います。
共有分割
共有分割とは、一つの土地に対して複数の相続人が共有名義で相続する方法です。
共有分割は平等に相続可能ですが、売却などの手続きに所有者全員の同意が必要になったり、所有者が亡くなった場合に子どもや孫に引き継がれて共有者が増えるデメリットがあります。
まとめ
この記事では、不動産相続でトラブルを引き起こす7つの事例と解決方法について紹介しました。
【不動産相続でトラブルを引き起こす事例】
①特定の相続人が不動産を独占しようとする
②不動産を相続する人が代償金を払えない
③不動産の評価方法の意見が合わない
④不動産の名義変更がされていない
⑤不動産の相続税を相続人が払えない
⑥不動産の売却で意見が合わない
⑦相続する不動産が空き家のままである
不動産相続には、さまざまなトラブルが想定されます。
誰もが面倒な事態は望まないため、トラブルを起こさないようにできる限りの対策をしておくことが大切です。
【不動産相続のトラブルを事前回避するための対策】
①生前に良く話し合う
②遺言書を作成する
③生前贈与をしておく
不動産相続でトラブルが起きてしまったら、まず相続人同士でしっかりと話し合い、解決できない場合は専門家や家庭裁判所へ相談しましょう。
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